日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
小腸内視鏡下生検で大量出血した小腸GISTの1例
鈴木 正彦水上 泰延尾上 重巳籾山 正人不破 嘉崇
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2007 年 27 巻 3 号 p. 533-536

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抄録

下血で発症し, ダブルバルーン小腸内視鏡下生検時の出血のため緊急手術となった小腸gastrointestinal stromal tumor (以下, GIST) の1例を経験したので報告する。症例は52歳, 男性。主訴は全身倦怠感。約2年間にわたり繰り返す貧血の精査のため入院となった。上部および下部消化管内視鏡検査では異常は認めなかった。腹部造影CT検査で, 右上腹部に直径約6cm大の造影効果の強い腫瘍性病変を認めた。腹部血管造影検査では, 空腸枝から栄養される腫瘍濃染像を認めた。ダブルバルーン小腸内視鏡検査でTreitz靭帯より約25cmの空腸に中央に潰瘍を伴った粘膜下腫瘍を認めた。内視鏡下に生検を行ったが, 多量に出血し, 止血困難となったため開腹下に小腸部分切除術を施行した。病理および免疫組織学的検査では, c-kit, CD34, vimentinが陽性で小腸GISTと診断した。小腸GISTの診断に小腸内視鏡検査は有用であるが, 生検は出血を念頭に置き注意して行う必要があると考えられた。

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© 2007 日本腹部救急医学会
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