日本腹部救急医学会雑誌
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特集 : 小児腸重積の治療 あなたはどうしていますか?
われわれの腸重積治療方針 (特に高圧浣腸について)
長嵜 彰財前 善雄生野 久美子
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キーワード: 腸重積症, 高圧浣腸, X線透視
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2007 年 27 巻 5 号 p. 693-697

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抄録
1995年~2004年の10年間に325例の腸重積症を経験した。47例に1~7回の再発があり, 腸重積の回数としては405回であった。イレウスなどの理由で除外した7例以外に398回の高圧浣腸を行った。高圧浣腸による全体としての整復率は88%であった。発症からの12時間以内の例では整復率は97%であったが13時間以後では77%であった。方法別では空気整復が整復率92%, 整復時間4.6分とほかの方法よりも成績がよかったが, 空気で整復できず, ほかの造影剤に変えたところ整復できた例もあった。整復に要した圧では120cmH2O以上の27例では全例整復できた。この間に穿孔例はなかった。10分以内では96%が整復できたが, 10分以上を要した例では76%しか整復できなかった。年齢別では1歳未満では82%, 1~2歳では94%, 3歳以上では85%の整復率であった。高圧浣腸で整復できず手術になる例で, 術直前手術場で全身麻酔下にもう一度整復を試みた6例中4例で整復でき, 手術をさけることができた。この期間にわれわれの施設では高圧浣腸による穿孔は経験していない。ガストログラフィンのみ注入したあと生理食塩水を注入していく方法は回盲部の状態がわかりやすくよい方法である。
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© 2007 日本腹部救急医学会
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