日本腹部救急医学会雑誌
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特集 : 小児腸重積の治療 あなたはどうしていますか?
当科における腸重積症の臨床学的検討
齋藤 武山田 慎一佐藤 嘉治菱木 知郎照井 慶太光永 哲也中田 光政松浦 玄吉田 英生
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2007 年 27 巻 5 号 p. 705-709

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抄録
1977年3月から2007年3月までに当科を受診した小児腸重積症877例 (1ヵ月から15歳, 中央値9歳) を対象に臨床学的検討を行った。男女比は597 : 280で男児に多く, 発症のピークは生後5~6ヵ月であった。希釈バリウムによる非観血的整復率は76%であり, 発症後48, 72時間以上経過例ではおのおの38%, 9%であった。観血的に治療した症例のうち, 壊死症例が占める割合は, 48時間以上経過例で11%であったが, 72時間以上経過例では40%であった。器質的疾患を有したのは20例2.3%であり, メッケル憩室が過半数を占めた。2歳以下の症例で器質疾患を有したのは1%だったが, 3歳以上症例では13%, 5歳以上症例では35%であった。整復後の再発は13%にみられ, 非観血的治療後の再発は15%, 観血的治療後の再発は5%であった。再発例101例中, 器質的疾患を有したのは5例に過ぎず, 再発例でも可及的に非観血的治療を選択するのが賢明である。
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© 2007 日本腹部救急医学会
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