日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
鼠径ヘルニア偽還納の1例
荒木 吉朗岡村 成雄
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2008 年 28 巻 1 号 p. 113-115

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抄録

症例は57歳の男性。既往歴に左鼠径ヘルニアがある。腹痛と嘔気・嘔吐を認め近医よりイレウスの診断で当院を紹介された。来院時腹部は軽度膨隆していた。鼠径部にヘルニアは認めなかった。CTと超音波を施行したところ,腹腔内に球状の小腸のループ像を認めた。病歴を詳細に聴取したところ,今回イレウスになる前に自分で強引にヘルニアを整復したとのことであった。鼠径ヘルニアが嵌頓した状態でヘルニア嚢と一緒に腹膜前腔に戻った状態すなわち偽還納による絞扼性イレウスと診断して,緊急手術を施行した。鼠径管内にはヘルニア嚢は認めず,開腹したところヘルニア嚢に腸管が嵌頓していた。ヘルニアの解除とmesh plug法による修復を行った。鼠径ヘルニア整復後もイレウスが続く場合は偽還納を疑う必要があり,診断にはCTと超音波検査が有用である。

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© 2008 日本腹部救急医学会
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