植物研究雑誌
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マメ科アコウマイハギ連の新属Sohmaea
大橋広好大橋一晶
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2018 年 93 巻 3 号 p. 155-164

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抄録

 マメ科アコウマイハギ連Desmodieaeは33属から構成される.Ohashi and Ohashi (2018) で Gronaにシバハギ属の和名を移したためにDesmodiumの属和名をアコウマイハギ属と改称した.それに伴いDesmodieae連の和名をアコウマイハギ連と改称する(本誌188ページ参照).アコウマイハギ連はLespedeza群(3属),Phyllodium 群(12 属)および Desmodium 群(18属)に分けられている(Ohashi 2005, Ohashi and Ohashi 2018, Ohashi et al. 2018).しかし,分子系統学的解析からはDesmodium群には多系統となる属が含まれている(Kajita et al. 1996, Jabbour et al. 2018).そのためDesmodium 群についてさらに詳しく分子系統学的解析を進めた結果を図1の系統樹に示す(詳しくはOhashi et al. (2018)を参照していただきたい).Ohashi (1973)がDesmodium subgenus Desmodium section AngustistipulosaとしたグループとOhashi et al. (2002)がDesmodium hispidum とした1種が単系統群となり,DesmodiumのタイプであるアコウマイハギD. scorpiurusを含むDesmodium subgenus Desmodium section Desmodiumとは別群となった.この結果に基づき,Desmodium section AngustistipulosaDesmodium hispidumを形態的特徴とも併せて新属とし,Sohmaea と命名した.Sohmaeaの形態的特徴は節果lomentsが糸状から狭長楕円形で,小節果articles が挟長楕円形~挟楕円形であることである.スリランカ,パキスタン,インドから東南アジア,中国,台湾に分布する.学名は相馬寛吉東北大学名誉教授 (1926–1995) を記念した.相馬博士の研究は生態学分野での花粉分析から始まり,現生花粉の形態学研究に広がり,多くの業績を残された.大橋広好は花粉形態の分類学への適用について相馬博士から多大の助力と協力を受けた.なお,Sohmaea は日本からは記録されていないが,台湾には3種自生しており,S. gracillima にはヒメコハギ,S. laxifloraにはホソミハギの和名があるが,S. diffusaは当時S. laxifloraに含められていたため和名がない.新属に和名をつけるならばホソミハギ属が適当であると思われる

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© 2018 植物研究雑誌編集委員会
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