日本腹部救急医学会雑誌
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特集
医療におけるリスクマネージメントをどう考えるか
原口 義座
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2008 年 28 巻 5 号 p. 685-691

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抄録

医療は,常にリスクと背中合わせの行為であり,なかでも,腹部救急疾患に代表される緊急かつ重症度の高い疾患に対する医療では,そのリスクは高い。医療過誤・医療事故の可能性に対して,どうすべきか,すなわち,リスクマネージメントに関しての概要を提示した。考え方として,SHELLモデル,すなわち,ソフトウェア,ハードウェア,作業環境(environment),人間の要素からの考え方をベースに,安全管理への試みを,医療面以外の観点も踏まえて,提示した。またエラーの分類からの観点も対応を決定する上で重要であると考えられる。すなわち,(1)意図の有無からみたエラーの分類,(2)誤ったことを実行・遂行したエラー,すべきことをしなかったエラーという分類,(3)その他の観点からの分類を提示した。その上で,危険性を減らすには,(1)準備体制のありかた,(2)エラー発生時の直後の対応体制,(3)エラー発生その後の体制として,PDCA cycle,背景にある考え方等を提示した。安全管理にも,産業界の考え方,科学的裏づけ,分野別・専門職種別に追求すると同時に,各分野の協力という横の連携も重視すべきである。

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© 2008 日本腹部救急医学会
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