日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
門脈ガス血症を伴う非閉塞性腸管虚血の1救命例
前田 敏樹横尾 直樹重田 孝信竹本 研史安田 勝太郎北村 好史吉田 隆浩北角 泰人
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2008 年 28 巻 5 号 p. 721-724

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抄録
門脈ガス血症 (portal venous gas : 以下, PVG) を呈した非閉塞性腸管虚血症 (non-occlusive mesenteric ischemia : 以下, NOMI)の症例を経験したので報告する。患者は67歳・女性で,突然の腹痛で救急外来を受診した。CTでPVGを認めたが,代謝性アシドーシスや壊死による逸脱酵素の上昇はなく,腹部所見も比較的軽度であったため保存的治療を選択した。その後,反跳痛が出現し,圧痛の増強,CK上昇もみられたため緊急手術を施行した。手術所見では,回腸末端に散在性の小腸壊死を認め,小腸部分切除術を施行した。さらに,肛門側腸管の粘膜には潰瘍性変化がみられたため,回盲部切除を追加し,回腸上行結腸端々吻合を施行した。PVGを伴ったNOMIで腸管壊死を生じたが,速やかな手術により救命し得た。腸管壊死の存在を正確に判断することは救命にとって重要である。
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© 2008 日本腹部救急医学会
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