2008 年 28 巻 7 号 p. 923-927
重症患者においては,腸管が機能していれば経腸栄養を行うことが推奨されている。一般的に静脈栄養法が行われることが多いのは,経管栄養ルートの設定が困難であることが理由である。腹部救急領域での経腸栄養ルートの選択には障害部位によって体内への入口,カテーテルの腸管壁貫通部位,カテーテル先端の位置が決定され,病状によってこれらの設置時期が決定されることで,経管栄養法がすすめられる。腹部救急患者においても経腸栄養法の可能性を追求し,安易に選択される静脈栄養法を再考することで,さらなる予後の改善が期待できる。また,これらの決定遂行には栄養サポートチームなどのチーム医療の貢献が期待される。