抄録
今回われわれは,検診で偶然に腹腔内遊離ガスを認め特発性気腹症と診断した1例を経験したので報告する。症例は66歳男性,生来健康で特記するべき既往歴はない。近医の検診で肝に胆嚢ポリープを指摘されその精査のため当院でCTを施行したところ上腹部に腹腔内遊離ガス像を認めた。消化管穿孔を疑われ同日血液生化学検査,上部消化管内視鏡等を施行したが明らかな異常所見なく,また腹膜炎症状も認めなかったため入院し絶食で経過観察となった。著変なく翌日に退院し外来フォローとしたがその後も腹膜炎症状を認めなかった。腹腔内遊離ガスを認める場合も明らかな消化管穿孔がなく腹膜炎症状を伴わない場合は特発性気腹症を念頭に入れ経過観察することも可能であると考えられた。