抄録
すばる望遠鏡第二期観測装置候補の中間赤外線高分散(IRHS)分光器にゲルマニウムイマージョングレーティング(GIG)が用いられる.この大型GIGは、厚さ60mmの三角ブロック2個を組み合わせて,長さ約300mmの斜面の上に472本の微細V溝(長さ120mm)を必要とする.本研究は,この多数の本数と長加工距離を要する微細V溝を加工するために,大型超精密鏡面加工システム″N-aou-VEL″を利用し,大型メタルボンドダイヤモンド砥石を用いた電解インプロセスドレッシング(ELID)研削法によって,実用化への本格的開発研究に取り組んでいる.微細V溝の優れた断面形状精度と表面粗さを達成するためには,シャープな先端エッジを有する微細砥粒砥石の適用が不可欠となる.そこで,本報では″N-aou-VEL″における大型メタルボンドダイヤモンド砥石#4000に対して,#325ブロンズボンドダイヤモンド砥石を用いたプラズマツルーイングとメカニカルツルーイングの効果について基礎的実験を行い,最適なツルーイング条件を追求することで,6μm程度の砥石先端半径を達成したので報告する.