抄録
小児の下血疾患は経過観察のみで改善するものから,緊急処置や緊急手術などの救急処置を必要とするものまで多種多様である。特に緊急処置を要する疾患においては,時機を逸すると患児の生命を危機に陥れる危険性もあり,臨床上迅速なアプローチと適切な処置が求められる。本稿では,小児下血の原因疾患,診断手順,治療などに関して概説するとともに,緊急処置を必要とした自験例について分析した。自験例では下血症例の半数近くに緊急処置を必要としていた。特に1歳以下の下血症例に対しては緊急手術の可能性を念頭においた迅速なアプローチが必要である。