日本腹部救急医学会雑誌
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原著
胃癌穿孔の臨床的検討
宇高 徹総小林 成行久保 雅俊水田 稔白川 和豊
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2009 年 29 巻 3 号 p. 437-440

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抄録

1993年から2007年までに当院で経験した胃癌穿孔10例を対象に診断と外科治療について検討した。男性7例,女性3例,年齢は44~85歳(平均60.9歳)であった。術前に診断できたのは7例(70%)で,残りの3例は術中に診断できた。手術法は胃切除術4例,胃全摘術2例,大網充填術後の二期的胃全摘術1例,穿孔部閉鎖術3例であった。転帰は呼吸不全による在院死が1例,stage IVの5例中4例が術後6ヵ月以内に癌性腹膜炎で死亡し,1例が1年7ヵ月肝転移生存中である。IIIBの1例が12ヵ月で肝転移により死亡し,1例は2年腹膜再発生存中である,IIIAの2例は5年以上無再発生存中である。術前の緊急内視鏡検査が重要である。根治性があると判断された場合,全身状態が不良な時は二期的根治手術が望ましく,全身状態が比較的良好な場合は一期的治癒切除が望ましい。

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© 2009 日本腹部救急医学会
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