抄録
【目的】絞扼性イレウスの補助診断法としてSystemic Inflammatory Response Syndrome(以下,SIRS)の有無による有用性を検討する。【対象】2001年1月から2007年12月の間に,イレウスと診断し手術を施行した72例を対象とした。【方法】手術所見で絞扼群27例,単純群45例に分類した。この2群間で,背景因子,SIRSの有無,治療前の血液検査所見,バイタルサインを,後ろ向き研究方法で比較した。【結果】単変量解析ではSIRSの有無,白血球数,血小板数,CRP,クレアチニン,PaCO2,BE,酸素化指数(PaO2/FiO2:以下,PF比),平均血圧,脈拍数,中枢神経系に統計学的有意差を認めた。多変量解析ではSIRSの有無,CRP,BE,PF比が選択され,SIRSの有無は,唯一有意な独立した因子であった。【結語】SIRSの有無は絞扼性イレウスの補助診断法として高い価値を認めた。臨床所見で絞扼性イレウスを疑い,SIRS,CRP,BE,PF比の異常所見を認めた場合は,絞扼性イレウスの高危険群である。