2009 年 29 巻 5 号 p. 763-765
腸間膜脂肪織炎は,腸間膜脂肪織に生じる非特異的炎症疾患で,比較的予後良好な可逆的な疾患である。今回,われわれは腹部CTで診断し,保存的に加療しえた1例を経験したので報告する。症例は51歳の男性で左上腹部痛を主訴に来院.WBCは11,200,CRPは15.6と炎症所見を認めた。腹部超音波検査では高エコー像を呈した腹腔内腫瘤を認めた。腹部CTでhigh densityな腫瘤性病変を認め,腸間膜脂肪織炎と診断した。保存的加療を行い症状が改善したため第7病日に軽快退院となった。その後,再発は認めなかった。腹部症状があり,腹部CT検査で腹腔内腫瘤を認めた場合,本疾患も念頭に置く必要があると考えられた。