日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
特集:門脈圧亢進症の診断と治療
肝移植による門脈側副血行路の変化
近森 文夫井上 敦岡本 博司国吉 宣俊国吉 和重Selvaggi GennaroNishida SeigoTzakis Andreas G.河島 孝彦高瀬 靖広
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2009 年 29 巻 7 号 p. 1007-1012

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抄録
門脈圧亢進症に伴って発達する門脈側副血行路が,肝移植によりどのように変化するかに関してはよくわかっていない。そこで,肝移植前後のCT or MRIから門脈側副血行路の変化について検討した。2001年12月から2007年2月までにマイアミ大学外科において施行された成人同所性肝移植(orthotopic liver transplantation :OLTX)462例中,治療前後でCT or MRIの評価可能であった脾機能亢進症55例を対象として,門脈側副血行路変化について検討した。年齢は53±9歳,M/F=38/17,Child─Pugh class A/B/C=6/24/25,HCC有/無=15/40。平均OLTX後CT or MRI施行時期は312日であった。門脈側副血行路として,術前に脾腎静脈シャント(SRS)は19例(35%)に認め,OLTX後の変化は消失/縮小/増大/不変=3/7/3/6であった。術前に食道静脈瘤and/or傍食道静脈は27例(49%)に認め,OLTX後の変化は消失/縮小/不変=8/14/5であった。門脈側副血行路はOLTXにより改善するものの多くの症例で残存した。
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© 2009 日本腹部救急医学会
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