日本腹部救急医学会雑誌
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原著
胃腫瘍性病変に対する内視鏡的粘膜下層剥離術の偶発症およびその予防の検討
今枝 博之細江 直樹井田 陽介菅沼 和弘斎藤 義正鈴木 秀和和田 則仁才川 義朗緒方 晴彦岩男 泰熊井 浩一郎北川 雄光日比 紀文
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2009 年 29 巻 7 号 p. 951-956

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抄録

胃腫瘍性病変に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の偶発症およびその予防を年齢別も含めて検討した。早期胃癌または胃腺腫250例269病変で,74歳以下187病変(69.5%),75歳以上で82病変(30.5%)であった。平均病変径は75歳以上では17.0mmで,74歳以下の14.0mmに比し有意に大きく,平均施行時間は75歳以上では58.2分で,74歳以下の47.2分に比し有意に時間を要した。後出血は15病変(5.6%)に認め,平均病変径は20.4mmと非後出血例の14.5mmに比し有意に大きかった。U領域2病変/31病変(6.5%),M領域3病変/105病変(2.9%),L領域10病変/133病変(7.5%)とM領域に比べてL領域で多い傾向がみられた。74歳以下で13病変/187病変(8.0%),75歳以上で2病変/82病変(2.6%)と74歳以下で多い傾向を認めた。穿孔は2病変(0.7%)にみられ,いずれも74歳以下で保存的に軽快した。一過性の発熱を2病変,著明な徐脈を1病変に認めた。胃ESDは,術前から術後まで合併疾患を含め的確に対応することにより,比較的安全に施行することが可能と考えられた。

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© 2009 日本腹部救急医学会
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