2009 年 29 巻 7 号 p. 957-963
【目的】大腸穿孔の予後因子を検討し,エンドトキシン吸着療法(以下,PMX─DHP)の適用について考察した。【対象と方法】対象は2003年4月から2008年3月までの5年間に,当院で経験した大腸穿孔54例である。術前因子9項目,術後因子6項目を選択し,予後についてそれぞれ統計学的検討を行った。【結果】多変量解析で,(1)術前ショック指数1.1以上の症例,(2)手術直後の収縮期血圧80mmHg以下の症例,(3)術後ノルアドレナリンを使用せざるを得なかった症例,(4)術後第1病日の血小板数低下率40%以上の症例,の4項目が独立した予後不良因子として観察された。さらに,死亡例は全例この4項目中2項目以上満たしていた。【考察】われわれはPMX-DHPを大腸穿孔の中でも最重症例に行うものと考えており,検討した予後不良因子~の中で2項目以上満たす症例は,最重症例としてPMX-DHP開始の一つの基準になり得るものと考える。