抄録
食道静脈瘤に比較し,胃静脈瘤の出血に対して選択する治療法は議論の余地があり,経験によるところが大きい。胃静脈瘤出血に対する内視鏡的シアノアクリレート注入は広く行われ,胃静脈瘤出血の患者の90%以上に止血可能であったと報告されている。しかし一方で脳,肺,門脈,脾臓に塞栓に関係した重篤な合併症も報告されており,粘着剤の注入による組織に対する安全性について懸念がある。当院に胃静脈瘤出血により入院した9人について内視鏡クリップ止血により治療した。クリップは胃静脈瘤の噴出性出血やフィブリン栓がみられた際に施行した。内視鏡クリップ止血法は9例すべての胃静脈瘤に対し止血でき,クリップによる止血不全例はなかった。一般にクリップ止血は容易であり,内視鏡的シアノアクリレート注入に不慣れな内視鏡医でも適当な止血法と考えられる。