抄録
食道静脈瘤の再出血予防において,門脈降圧効果に基づく治療の有用性は明らかではない。今回降圧効果に基づく治療が有用か否かについてオープンラベルuncontrolled pilot studyを施行した。対象は出血後に肝静脈圧較差(HVPG)を測定した18例。測定後にアンジオテンシンII受容体拮抗剤であるOlmesartanを2週間内服させ,投与後のHVPGが20%以上低下した症例(Responder)は内視鏡治療を行わず,20%以上低下しなかった群(nonresponder)は従来どおり内視鏡的結紮術(EVL)を追加した。結果として6例(33.3%)のresponderは薬剤治療のみ継続され,12例(66.7%)のnonresponderはEVLが追加された。この18例を,薬物療法を行わず内視鏡治療のみ施行した247例と非再出血率を比較検討した。治療前の両群の年齢・性別・肝硬変の原因疾患および肝予備能に差はなかった。1年非出血率は93%vs 95%,3年86%vs 83%であった。uncontrolled pilot studyではあるが両群の非出血率に差はなく,門脈降圧効果に基づく治療は有効であると思われる。