抄録
2005年に出版された急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドラインに従い,発症早期の急性胆嚢炎に対して積極的に腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)を行ってきた。2006年1月から2008年12月に急性胆嚢炎に対し施行した腹腔鏡下胆嚢摘出術は55症例にのぼり,この間,開腹手術施行例,開腹移行例,術前の胆嚢ドレナージ(PTGBD)施行例はなかった。全症例における平均年齢は60.5歳,男女比は29対26で,初診時の白血球数ならびにCRPの平均値は12,318/μL,7.7mg/dLであった。発症後の術前待機期間は平均19.5日,平均手術時間は1時間48分,術後平均在院期間は7.7日であった。発症後4日以内のLC施行例をA群(13例),5日目から10日目までの施行例をB群(14例),11日め以降の施行例をC群(28例),さらに同時期の待機手術施行例をX群(96例)として比較検討した。C群においては,出血量は発症後超急性期のA群とほぼ同様にその他の群に比べて多く,平均手術時間も長い傾向にありA群を上回った。急性胆嚢炎の手術は発症後1~3週が難しい時期とされている事実を反映した結果であった。他方でB群においては,出血量が,A・C群に比べ少ない傾向にあり,有意差こそ認めなかったが約3分の1の量であった。加えて,手術時間もX群を除いて最も短かった。これらの事実は,ガイドラインで推奨された“比較的早期=発症後72から96時間以内”には,時間的猶予が存在する可能性を示唆する。