日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
盲腸軸捻転症の3例
鬼塚 幸治伊藤 重彦田上 貴之山吉 隆友木戸川 秀生
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2010 年 30 巻 3 号 p. 463-467

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抄録
盲腸軸捻転症は結腸軸捻転症の中でも5.9%と比較的まれな疾患である。今回われわれは盲腸軸捻転症の3例を経験したので報告する。症例1は57歳,女性。てんかん性精神病にて他院入院中,腹部膨隆,嘔吐出現し当院紹介された。CTで盲腸軸捻転が疑われ手術施行した。下腹部に小児頭大に拡張した盲腸を認めた。盲腸は遊離し術者から向かって時計回りに360度捻転していた。捻転整復後,右側腹壁に盲腸を固定した。症例2は79歳,女性。脳梗塞にて他院入院中,嘔吐あり当院紹介された。CTで盲腸軸捻転が疑われ手術施行した。盲腸は遊離しており向かって反時計回りに360度回転していた。整復後,腸管を右側腹壁に固定した。症例3は35歳,女性。交通外傷にて治療後,嘔吐出現し入院となった。入院後,腹部膨満,腹膜刺激症状が出現し,腹部X線にて腹部中央に拡張した結腸を認めた。絞扼性腸閉塞の診断にて手術施行した。盲腸は拡張し壊死に陥っていた。盲腸を中心にして向かって時計回りに540度回転していた。絞扼解除後も血行改善のみられなかった回腸から結腸の部分は切除した。
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© 2010 日本腹部救急医学会
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