日本腹部救急医学会雑誌
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原著
閉鎖孔ヘルニア12症例の検討
富永 哲郎土肥 良一郎河野 陽介荒木 政人森野 茂行阿保 貴章角田 順久中村 昭博原 信介石川 啓
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2010 年 30 巻 6 号 p. 751-755

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抄録

【目的】当院で経験した閉鎖孔ヘルニアの12症例について検討した。【対象および方法】2001年4月から2009年8月までに佐世保市立総合病院で手術を行った症例を対象とした。腸管切除例と腸管非切除例で,手術までの時間・画像所見との関係などについて検討した。【結果】年齢は73歳~93歳(平均83.5歳),すべて女性で平均のBody mass indexは17.6kg/m2であった。主訴は嘔吐が7例と最も多く,Howship-Romberg signは3例(25%)のみに認めた。術前診断は10例で可能であり,そのうち9例は腹部単純CTで診断した。腹部症状の出現から手術までの時間は5~528時間(平均120時間),手術の内訳は開腹手術が11例,腹腔鏡手術が1例であり全例緊急手術を行った。ヘルニア門の閉鎖は単純閉鎖が4例,メッシュを使用したものが8例であった。【結語】閉鎖孔ヘルニアは近年早期診断,早期治療が可能となっている。今後は,腹腔鏡手術などを積極的に施行し,より低浸襲な治療を考えていく必要があると考えた。

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© 2010 日本腹部救急医学会
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