2010 年 30 巻 6 号 p. 759-764
大腸癌イレウスは,oncologic emergencyとして従来緊急手術の適応であるが,最近では金属ステント(Expandable Metallic Stent:EMS)留置術を含めた経肛門的な減圧術が登場し,情況が変化している。経鼻イレウス管などでは減圧が不良である大腸癌イレウスを経肛門的に減圧し待機的に手術を行う事が可能になり,手術成績の向上,患者のQOL(quality of life)の向上とともに,医師・医療従事者のQOLの向上にも寄与している。挿入率は9割以上,臨床的有効率も9割程度,挿入時合併症は約5%と高い有効性と安全性が報告されている。ただし,長期的には逸脱や再狭窄もおのおの約1割程度認められる。今後左側大腸癌による狭窄・閉塞に対する第一選択的な手技として普及していくと思われる。