抄録
左側大腸癌イレウスに対する治療は,右側の場合と異なり確立されたものがないのが現状である。準緊急ないし緊急に術中に腸管内減圧を行い一期的に根治手術を行う場合や,経肛門イレウスチューブや金属ステントなどの減圧法を適用したのち根治手術を行う場合などさまざまである。しかしながら,(準)緊急手術は,死亡リスクの上昇があり,可能な限り術前の減圧後に待機手術を行うほうが安全と考えられる。術前の減圧法として,経肛門イレウスチューブは有効であるが,留置中の大腸粘膜の潰瘍形成や穿孔などの合併症があり,その特性や管理法について十分に精通したうえで使用することが重要である。経肛門イレウスチューブによる腸管内減圧後のCT-colonoscopyによる口側検索や,減圧後の腹腔鏡手術など,左側大腸癌イレウス治療の確立が期待される。