日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
宿便性直腸切迫破裂を呈した特発性巨大直腸症の1例
指山 浩志辻仲 康伸浜畑 幸弘堤 修星野 敏彦南 有紀子
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2010 年 30 巻 6 号 p. 819-821

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抄録

症例は78歳男性,高度便秘のために肛門痛が持続し来院。尿閉,便失禁状態であり,CT上直腸壁の著明な拡張と間膜組織の炎症像があり切迫破裂状態と判断した。保存的に加療し,排尿障害,排便障害ともに1週間程度で改善し退院した。退院後,自己判断で緩下剤の服薬を中止したところ症状の再燃を認めた。再度保存的加療で改善し,その後は内服を継続的に使用することで経過良好となった。便秘による特発性巨大直腸症は時に穿孔を起こして,重篤な状態を招くことがある。高度便秘で肛門痛,排尿困難,便失禁を呈する症例では,宿便による直腸切迫破裂というべき症例の存在に留意し,慎重に診療をすべきである。

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© 2010 日本腹部救急医学会
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