日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
特集:主膵管損傷例に対する最近の診断・治療法
深在性膵損傷の治療
加地 正人大友 康裕相星 淳一庄古 知久登坂 直規村田 希吉森下 幸治本藤 憲一植木 穣小島 光暁横田 裕行益子 邦洋
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2011 年 31 巻 6 号 p. 875-882

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抄録
膵損傷の診断と治療について,1992年から1996年の5年間の腹部外傷357例中,膵損傷分類2008(日本外傷学会)I型2例,II型5例,IIIa型2例,IIIb型7例(Ph4,Pb2,Pt1)の16例を検討した。外科的治療はIIIa型で膵尾側切除が2例,IIIb(Pb)型で膵体尾部切除が2例,IIIb(Pt)型で膵尾側切除が1例,IIIb(Ph)型では広範膵体尾部切除が1例,PD(膵頭十二指腸切除)が2例,PPPD(幽門輪温存膵頭十二指腸切除)が1例であり,3例ともEmergency Room Laparotomy(以下,ERL)を余儀なくされ,うち2例にDamage Control Surgery(以下,DCS)で再建を行った。死亡例はIIIb(Ph)型1例であった。診療は,受傷機転から膵損傷を疑い,造影CTを行い主膵管損傷が疑わしければERPを施行し診療方針の参考とする。一方で腹腔内出血による重篤なショック症例では,開腹止血術を優先し,術中の主膵管損傷の診断が重要であり,damage control surgery(以下,DCS)も考慮する。
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© 2011 日本腹部救急医学会
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