日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
特集:主膵管損傷例に対する最近の診断・治療法
重症膵損傷の救命率向上にむけて
─膵出血症例に対する治療戦略─
山名 一平川元 俊二稲田 一雄永尾 修二石倉 宏恭山下 裕一
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2011 年 31 巻 6 号 p. 869-874

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抄録
【背景】われわれが経験した外傷性膵出血7例を対象とし,膵出血症例に対する治療戦略を検討した。【方法】膵出血の定義は来院時の腹部造影CT所見で膵実質および膵周囲主要血管からのextravasationを呈するものとした。【結果】外傷性膵出血7例中6例に緊急開腹術を行い,1例にtransarterial embolization(以下,TAE)を施行した。開腹症例では,膵実質および膵周囲血管より活動性ないし持続性出血を認め,縫合止血後切除ないし修復術を行った。6例のすべてに主膵管損傷を認め,5例に膵切除術,1例にドレナージ術を施行し全例救命し得た。TAE症例は出血性ショックにより死亡した。【結語】外傷性膵出血に対する迅速な開腹止血術と実質損傷に対する膵切除術ないし修復ドレナージ術は,救命率向上につながると考えられた。
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© 2011 日本腹部救急医学会
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