日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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特集:NOMI(non-occlusive mesenteric ischemia)をいかに診断し,治療するか
NOMI(non-occlusive mesenteric ischemia)の臨床像
門野 潤田畑 峯雄大迫 政彦石崎 直樹井本 浩
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2011 年 31 巻 7 号 p. 1005-1008

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抄録

Non-occlusive mesenteric ischemia(NOMI)の臨床像を検討した。NOMI 23例(救命群13例,非救命群10例)の年齢や来院までの時間,ショックスコア,SIRS項目数,WBC,血小板数,LDH,CPK,CRP,Cre,PT,BE,大腸病変,門脈ガス像,血管拡張薬投与の有無などを比較した。年齢や来院までの時間,WBC,血小板数,CRP,PTに差はなく,ショックスコアやSIRS項目数は救命群に低い傾向にあった。非救命群のLDHやCreが有意に高く,CPKやBEは有意差を認めないが高い傾向にあった。非血液透析症例のCreに差はなかった。血液透析の4例は全例死亡した。大腸虚血や門脈ガス像も,非救命群に多い傾向にあった。血管拡張薬投与は,救命群に有意に多かった。大腸虚血や門脈ガス像を認めた高度虚血例は予後不良で,特に血液透析は予後不良因子であった。血管拡張薬投与可能な循環動態の良好な症例は予後良好で,早期の循環動態の改善が重要と思われた。

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© 2011 日本腹部救急医学会
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