日本腹部救急医学会雑誌
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特集:NOMI(non-occlusive mesenteric ischemia)をいかに診断し,治療するか
NOMI(non-occlusive mesenteric ischemia)の診断と治療法に関する検討─特に動注療法の有用性について─
片岡 祐一島田 謙樫見 文枝神應 知道花島 資ウッドハムス 玲子相馬 一亥
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2011 年 31 巻 7 号 p. 1015-1019

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抄録

当施設において過去6年間で治療したNOMIの症例は17例であり,在院死亡は5例で死亡率29%であった。臨床所見とCT検査でNOMIが疑われた場合,血管撮影検査を積極的に施行した。13例に動注療法を施行し,手術を施行せず軽快した症例は2例,開腹したが腸管切除術を回避できた症例が3例,second look手術で切除範囲を縮小できた症例が1例であった。動注療法は,上腸間膜動脈に留置したカテーテルからプロスタグランディンE1をbolusで投与後,パパべリンを持続的に動脈内投与した。明らかな腹膜刺激症状があれば,手術を施行した。手術は,12例に施行した。動注療法と開腹手術をともに施行したのは8例で,死亡率は25%であった。死亡症例は診断まで時間が経っており,治療開始時にはすでに多臓器不全に陥っていた。早期診断と手術を前提とした動注療法の施行が,治療成績の向上に寄与する。

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© 2011 日本腹部救急医学会
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