日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
上腸間膜動脈閉塞症を呈した胃全摘・Roux-en-Y再建術後の内ヘルニアの1例
永田 洋士本城 弘貴太田 智之山田 成寿加納 宣康
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2012 年 32 巻 1 号 p. 105-107

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抄録
症例は2年前に胃癌に対して胃全摘・Roux-en-Y再建術を施行された78歳の女性。搬送3時間前に出現した食後の急な臍周囲の腹痛と,その後の嘔吐および腹痛の増強があり当院搬送となった。腹部造影CTにて上腸間膜動脈の途絶と腸管の広範な造影欠損が認められ,上腸間膜動脈閉塞症による腸管壊死を疑って開腹術を行った。小腸がほぼ全長にわたり挙上空腸の背側に嵌入しており,内ヘルニアと判明した。腐敗臭を伴う多量の腹水を認め,腸管の血色は不良だったが整復により回復したため腸管切除せずに手術を終了とした。腸管脱出の際に上腸間膜動脈が壁外性に圧迫されて血流障害をきたしたものと推測された。術後3日目より経口摂取開始し,独歩退院となった。R─Y再建術後の合併症として内ヘルニアがあること,およびその発症様式として上腸間膜動脈の閉塞をきたす可能性があることを認識しておく必要がある。
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© 2012 日本腹部救急医学会
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