日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
急性腹症にて緊急腹腔鏡下手術となった好酸球性腸炎の1例
城田 哲哉浅井 哲山口 拓也田中 亮森 琢児小川 稔
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2012 年 32 巻 1 号 p. 87-89

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抄録

症例は62歳,女性。2009年11月,腹痛,嘔吐にて入院,腹部触診にて下腹部に膨満,圧痛を認めた。血液検査では白血球の上昇を認めるも好酸球数は正常であった。CT検査では小腸の著明な拡張とDouglas窩に腹水を認めた。腹部症状が増悪し絞扼の可能性が示唆されたため,腹腔鏡にて診断も兼ねた緊急手術を施行した。腹腔内を検索,回盲部から約2m口側の回腸に著明な発赤を伴う約1.5cm大の硬結を認め,腫瘍性病変も否定できないため小開腹し,腹腔鏡補助下小腸切除術を施行した。切除標本所見では硬結を触知した部位の粘膜面に2ヵ所の潰瘍を認めた。病理組織学的所見にて潰瘍周囲の粘膜下層に好酸球を認め,さらに固有筋層,漿膜下層にも著しい好酸球浸潤を認め,全層型の好酸球性腸炎と診断した。術後経過は良好であった。原因不明の急性腹症疾患に対し,緊急腹腔鏡補助下小腸切除術を行い,好酸球性腸炎と診断された1例を経験したので報告する。

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© 2012 日本腹部救急医学会
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