抄録
症例は65歳の女性。腹痛で救急搬送後,CTで前上膵十二指腸動脈瘤破裂の他,近接する血管に多発する腹部内臓動脈瘤を認めたため,緊急で経動脈的カテーテル塞栓術を施行し,血行動態の安定化を認めた。術後CTでは新たに後上膵十二指腸動脈の拡張を認め,第11病日に再度血管造影検査を施行した。その結果,初回検査では認めなかった同血管に2ヵ所の仮性瘤を認め血管内治療を行った。再塞栓術後,新たな瘤形成や,破裂時に認めていた他の動脈瘤の拡大傾向を認めず,第22病日に転院となった。本症例は,多発性の腹部内臓動脈瘤からSegmental arterial mediolysisと考えられたが,自験例のように数日で新たな動脈瘤を形成した報告はない。本病態は病理所見により確定診断となるが,本例のように急速に血管病変が進行する可能性があり,今後さらに血管内治療症例の増加が考えられ,画像診断を中心とした臨床的な診断基準が必要となる。