2012 年 32 巻 5 号 p. 949-952
腹腔鏡下大腸切除術は近年,急速に普及してきている。今回われわれは出血を繰り返した多発大腸憩室に対し腹腔鏡下大腸亜全摘術を施行した1例を経験した。症例は64歳,男性。5年前より大腸憩室からの出血を3回繰り返していたが,本人の希望により保存的治療を行っていた。再度の下血を認め入院となり,保存的治療により数日で改善,退院となったが,今回手術に同意し当科入院となった。大腸全体に多発する憩室を認めたため,腹腔鏡下大腸亜全摘術を施行した。全大腸に多発する大腸憩室は非常にまれであるが,出血を繰り返す症例は手術適応となる。その場合,低侵襲である腹腔鏡手術の良い適応と考えられた。