日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
超音波による瘤内血流観察下でのグリソン鞘結紮術が有効であった肝損傷後動門脈瘻を伴った仮性肝動脈瘤の1例
武藤 亮坂下 啓太
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2012 年 32 巻 5 号 p. 953-957

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抄録
症例は48歳,男性。転倒後のIIIb型肝損傷に対して保存的加療中,受傷後2週間目のCT検査で肝前区域に肝動脈瘤を認めた。TAEを試みたが,瘤化した太い動門脈瘻(以下,A-Pシャント)が併存し,シャント血流が速く,門脈の広範な塞栓を起こす危険があったため,開腹術を行った。大酒家で肝予備能の低下が疑われる症例であったため,超音波による瘤内血流観察下に選択的にS5b+cのグリソン鞘結紮術を行った。術後16日目に側副血行路による瘤の再形成を認め,TAEを再施行した。中枢側グリソン鞘をすでに結紮していたため,門脈塞栓を起こすことなく,安全にTAE施行が可能であった。A-Pシャントを伴った肝損傷後の肝動脈瘤に対しては,TAEが困難かつ広範囲肝切除が躊躇される症例では,本術式は比較的簡便かつ低侵襲で行える方法であり,治療戦略の一つになりうると思われた。
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© 2012 日本腹部救急医学会
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