2012 年 32 巻 5 号 p. 977-979
症例は65歳の男性。血液透析(HD)患者。前日からの発熱,腹痛を主訴に当院を受診した。消化管穿孔の診断で緊急開腹。S状結腸憩室穿孔のためHartmann手術を行った。術後8日目まで人工呼吸器管理,術直後から24時間エンドトキシン吸着療法(PMX)を施行,術直後から10日間持続血液濾過透析(CHDF)を施行。術後12日目からHDを再開した。術後24日目に食道の長径20cmの全周性虚血性潰瘍からの出血による吐血を生じたが,15日間の絶食で保存的に軽快。術後20日目,35日目,61日目に腹腔内膿瘍に対し超音波ガイド下穿刺ドレナージを施行し,各10日間のドレーン留置を要した。術後92日目に気管支炎を生じたが抗生剤投与で軽快し,107日目にバスキュラーアクセス再造設目的に転院した。HD患者の場合でも,大腸穿孔に対しては早急に手術を行い,合併症に対して粘り強く対処することが重要と考えられた。