日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
特集:消化器外科領域の緊急手術におけるSSI対策
潰瘍性大腸炎手術におけるSSIの検討
内野 基池内 浩基竹末 芳生冨田 尚裕
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 32 巻 6 号 p. 1033-1039

詳細
抄録

潰瘍性大腸炎(UC)手術では貧血,ステロイド使用など手術部位感染(SSI)のリスクが高い。そこでUC手術でのSSI危険因子を検討した。【方法】創分類2のUC192手術症例のSSI危険因子について検討した。さらに創分類3,4を含む準緊急,緊急手術90症例のSSI危険因子についても検討した。【結果】創分類2では皮切部SSI12.5%,体腔/臓器1.6%であった。ASAスコア≧3(Odds ratio(OR):3.5,p=0.03),プレドニン総投与量≧10,000mg(OR:3.3,p=0.04)が皮切部SSIの危険因子であった。緊急,準緊急手術90例では皮切部SSI:31.1%,臓器/体腔SSI:6.7%であった。皮切部SSIの危険因子は術直前プレドニン≧50mg(OR:3.0,p=0.049),創分類≧3(OR:12.3,p<0.01)であった。また創分類≧3(OR:11.7,p=0.04),ハルトマン手術(直腸断端)(OR:15.7,p<0.01)が体腔/臓器SSIの危険因子であった。【結語】UC手術では高用量ステロイドが皮切部SSIの危険因子であった。体腔/臓器SSIの予防に緊急,汚染手術では粘液瘻造設を第1選択とすべきである。

著者関連情報
© 2012 日本腹部救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top