日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
当院における鼠径部ヘルニア嵌頓例の検討
佐々木 妙子亀山 哲章冨田 眞人三橋 宏章松本 伸明大渕 徹吉川 祐輔
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2012 年 32 巻 7 号 p. 1227-1230

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抄録

鼠径部ヘルニアは比較的頻度の高い良性疾患だが,嵌頓し絞扼すると生命に関わることがある。今回当院で手術を施行した鼠径部ヘルニア嵌頓例を検討し,嵌頓例への対応を考察したので報告する。2007年1月から2011年6月までの当院で手術を施行した鼠径部ヘルニアは586例であり,このうち嵌頓例は37例(6.3%)であった。診断内訳は外鼠径ヘルニア23例(62.2%),内鼠径ヘルニア2例(5.4%),大腿ヘルニア11例(29.7%),不明1例(2.7%)であった。緊急手術を要した例は31例(83.8%)で,このうち臓器切除を要した例は11例(35.5%)で,腸管切除が7例,大網切除が4例であった。嵌頓例37例のなかで自覚症状発現から来院まで1日以上経過している例が17例(46.0%)存在した。医療者は急性腹症の原因にヘルニア嵌頓がないかを確認すること,また嵌頓時には速やかに受診するように啓蒙していく必要がある。

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© 2012 日本腹部救急医学会
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