日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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原著
大腸癌イレウス治療の検討
─経肛門的イレウスチューブの有用性─
門野 潤田畑 峯雄大迫 政彦石崎 直樹井上 真岐渡邉 照彦井本 浩
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2013 年 33 巻 3 号 p. 543-548

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抄録

大腸癌イレウスの治療について,経肛門的イレウスチューブの有効性を中心に検討した。2005年1月から2010年9月に経験した大腸癌イレウス39例を,経肛門的イレウスチューブ挿入群(挿入群)21例と非挿入群16例に分けた。チューブが挿入困難であった2例を除外した。患者背景,重症度,腫瘍因子,手術結果を検討した。挿入群/非挿入群で,年齢は70歳/80.5歳,PNIは43.8±5.6/33.7±6.1,CRP1.3±1.7/13.0±9.9と,非挿入群は,高齢,栄養状態不良で,炎症が高度であった。左側大腸癌は,挿入群は20/21例,非挿入群が5/16例で,一期的再建も,挿入群16/21例,非挿入群5/16例と挿入群に多くなされていた。挿入による穿孔を1例に認めたが,縫合不全はなく,非挿入群に在院死亡を4例認めた。左側大腸癌で全身状態良好であれば経肛門的イレウスチューブが有効であった。

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© 2013 日本腹部救急医学会
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