日本腹部救急医学会雑誌
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特集:”急性胆管炎・胆嚢炎,急性膵炎のガイドライン”の検証と普及
急性膵炎における造影CTの可否と有用性
武田 和憲
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2013 年 33 巻 3 号 p. 563-568

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抄録

造影CTは急性膵炎の重症度判定や予後予測に有用である。急性膵炎の国際基準であるAtlanta分類改訂版では,造影CT所見が膵炎の形態分類の標準となっている。実験的研究では急性膵炎において造影剤が膵の微小循環を障害する可能性が指摘されているが,臨床的には造影剤が明らかに急性膵炎の病態を悪化させるまたは死亡率を増加させるエビデンスはない。わが国では造影剤は急性膵炎において原則禁忌であったが,2012年,慎重投与に改訂された。一方,腎障害を有する場合には「腎障害患者におけるヨード造影剤の使用に関するガイドライン2012」が発刊されており,腎障害が認められる患者にはこのガイドラインに準拠しながら造影CTの必要性とリスクを勘案し,必要な説明と同意を得ておくこともまた重要である。

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© 2013 日本腹部救急医学会
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