日本腹部救急医学会雑誌
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ISSN-L : 1340-2242
特集:”急性胆管炎・胆嚢炎,急性膵炎のガイドライン”の検証と普及
急性胆管炎,胆嚢炎に対するドレナージ
露口 利夫糸井 隆夫高田 忠敬
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2013 年 33 巻 3 号 p. 587-590

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抄録

2005年9月に「急性胆管炎,胆嚢炎の診療ガイドライン第一版」が発刊され,2007年2月に国際ガイドラインである「Tokyo Guidelines for the management of acute cholangitis and cholecystitis」が公開された。両者は臨床現場に大きなインパクトを与え,早期腹腔鏡下胆摘術の普及など役立った。一方で画一的な早期手術推奨は胆道損傷のリスクをあげることにつながり,慎重な対応が必要な実臨床との解離がみられていた。また,小腸内視鏡や超音波内視鏡による胆管ドレナージなど新たな内視鏡的ドレナージ法の普及に伴い,現時点でのエビデンスを整理して内容をup-to-dateする必要があった。従来のガイドラインの推奨度(recommendation)はエビデンスのレベルだけで画一的に決定される弱点があった。そこでTG13(Updated Tokyo Guidelines)ではエビデンスの評価,推奨を公式化し明確かつ透明性の高い基準を具現化したGrading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation(GRADE)Systemを用いて推奨度が決定された。本稿では「急性胆管炎,胆嚢炎に対するドレナージ」のTG13における改訂の理由とその根拠について概説した。

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© 2013 日本腹部救急医学会
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