日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
右下腹壁静脈を主な流出路とした小腸静脈瘤破裂の1例
阿部 勇人入江 彰一南村 圭亮真船 健一
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2013 年 33 巻 3 号 p. 653-655

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抄録

症例は,60歳のB型肝硬変を有する男性。既往歴に胃切除術とイレウス解除術,肝切除術2回の計4回の手術歴がある。大量下血を主訴に受診し,出血性のプレショックの状態であった。上部消化管内視鏡検査では,明らかな出血源は認められなかったが,造影CT検査で腹壁に癒着した小腸の腸間膜静脈瘤が認められ,流出路は主に右下腹壁静脈であった。同静脈瘤の破裂による小腸内出血と診断し,緊急手術を行った。手術所見はCT検査所見と一致しており,右下腹壁動静脈を結紮切離し,癒着を含めた小腸部分切除術を行った。術後経過は,再出血もなく良好であった。門脈圧亢進症患者の消化管出血の原因として,特に開腹歴のある症例では小腸静脈瘤破裂も念頭に置く必要があり,本症例に若干の文献的考察を加え報告する。

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© 2013 日本腹部救急医学会
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