抄録
要旨:【目的】当院における大腸穿孔症例の臨床的事項と予後を反映する因子について検討し,リスクマネージメントの観点から重要な事項について検討した。【対象】2005年7月~2011年1月までに経験した大腸穿孔43例を対象とした。【結果】SOFA score,APACHEII score,POSSUM score,Mannheim Peritonitis Indexによる評価では,死亡群で有意に高値であった。(1)術前BEが-5.0mmol/L未満,(2)術前ショック状態,(3)発症から手術開始までの時間が24時間以上の症例で有意に予後不良であった。また,近隣の医療機関からの紹介患者,重篤な基礎疾患を有する患者の死亡率が高かった。【考察】大腸穿孔の予後予測因子として,発症から手術開始までの時間を短縮することと,術前患者状態の評価を迅速に行うことが重要と考えられた。