日本腹部救急医学会雑誌
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特集:腹部救急治療におけるNSTの役割
当院NSTで導入した栄養トリアージ
今井 健一郎安田 秀喜幸田 圭史山崎 将人鈴木 正人手塚 徹小杉 千弘村田 聡一郎平野 敦史白神 梨沙
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2013 年 33 巻 4 号 p. 695-699

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抄録
要旨:NST対象患者の病状の理解の一助となることを目的として,栄養トリアージを考案したので報告する。(対象・方法)検討1:2011年1月~10月までに帝京大学ちば総合医療センターNSTの検討対象となった症例は71例であった。症例を「赤」,「黄」,「緑」,「青」の栄養トリアージに分類し,トリアージ別に病態改善率を検討した。栄養トリアージは次のように4つのカテゴリーに設定し,NSTメンバーが判定した。「赤」:低栄養が著しく全身状態に大きな影響を与え,緊急に栄養改善が必要と判断される症例,もしくは緊急の対応が必要と判断される症例 ,「黄」:「赤」と「緑」の中間の症例 ,「緑」:現在の治療を続行して改善が見込めると考えられる,緊急性に乏しい症例,「青」:緩和ケアが中心となる症例。検討2:栄養トリアージによる分類を開始後8ヵ月経過した時点で,NST メンバー15名を対象として,栄養トリアージ導入前後での病状の理解の変化について,アンケートを行った。(結果)結果1: 対象症例を栄養トリアージ別に分類すると,「赤」は21例,「黄」は31例,「緑」は10 例,「青」は9例であった。病態改善率は,「赤」は71.4%,「黄」は83.9%,「緑」は100%,「青」は22.2% で,平均病態改善率は74.6% であった。結果2:NST メンバーへのアンケート調査では,栄養トリアージの導入で「病状が理解しやすくなった」と回答したのは12名(80%)で,「変わらなかった」と回答したのは3名(20%)であった。(結論)栄養トリアージはNST における病状の理解の一助となる可能性があると思われた。
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© 2013 日本腹部救急医学会
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