2013 年 33 巻 4 号 p. 705-709
要旨:腹部救急における栄養サポートチーム(NST)の支援はしばしば困難である。筆者が所属した異なる2つの病院で行った支援法を検討し,支援は可能かつ有効であることを示した。総合病院A(2次救急)では,筆者がICU専従医かつNST director となって早期支援を行った。その後,消化器外科医として異動した救命救急センターを併設する総合病院B(3次救急)でも,既存のNST活動を発展させて早期支援体制を確立した。いずれの病院でも,活動の目標,評価を「消化管ルートから必要熱量を摂取出来ること」等として,ICU退室後も継続して支援した。目標達成率はいずれの施設でも70%に達し,NSTは有効と考えられた。院内の理解と協力やチームの栄養管理技術向上が今後の課題だが,病院全体での取組で解決し得るものと思われた。より早期にNST支援を開始し継続することで,腹部救急における治療効果改善が期待される。