抄録
要旨:症例は66歳男性で前日から腹痛,嘔吐を認め,当院を受診した。腹部は膨満し,軽度の圧痛を認めた。腹部単純X線で腸閉塞と診断し入院となった。腹部CTで小腸は拡張し腸管閉塞部位に近接して石灰化を伴う直径4cmの球形の腫瘤を認めた。補液,絶食,イレウス管挿入による腸管減圧を行った。以上より結石を伴う空腸憩室による腸閉塞と診断し腹腔鏡手術を行った。腹腔内の癒着剥離後,空腸の腸間膜に硬結を触知した。硬結の周囲では空腸の癒着が高度であった。結石を含む空腸憩室は腸間膜内に存在し,周囲と強固に癒着していたため,病変部を含め小腸部分切除を行った。腸石を有する空腸憩室に対しては,腸閉塞や穿孔の危険性もあり外科的治療を考慮すべきである。