抄録
要旨:症例は18歳,男性。2日前より続く発熱と下腹部痛にて当院へ救急搬送された。腹部は板状硬で,腹部造影CT検査にてfree airおよび小腸より連続する盲端部分を認め,Meckel憩室穿孔による急性汎発性腹膜炎の診断で,緊急手術を施行した。手術は腹腔鏡補助下で施行し,膿性腹水およびMeckel憩室の穿孔を認め,楔状切除および洗浄ドレナージを行った。病理組織学的検査所見では憩室先端付近で穿孔を認め,高度な炎症細胞浸潤と壊死を伴っていた。異所性粘膜の存在は認められなかった。近年の画像診断の進歩により,術前にMeckle憩室の診断が可能であった症例が増加してきている。急性腹症の診断の際,Meckel憩室も鑑別にあげた腹部CTの慎重な読影が重要であると考えられた。