日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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特集:大腸穿孔の治療方針
大腸穿孔に対する術式選択と治療成績
久保田 哲史井谷 史嗣中野 敢友黒瀬 洋平石井 龍宏高倉 範尚
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2013 年 33 巻 6 号 p. 971-977

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抄録

要旨:【目的】大腸穿孔に対する緊急手術において,一期的吻合が安全に施行可能な条件を明らかにする。【対象および方法】2005年4月から2012年12月まで当施設で手術を施行した大腸穿孔の53例について,術式別の背景,短期成績を比較し,術式選択に影響を及ぼした因子,および予後因子を検討した。【結果】在院死亡率は18.9%であった。予後因子の多変量解析では,APACHEIIscore (AS)(≧20)(p=0.013)が独立した予後不良因子であった。術式別の術前因子を多変量解析した結果では,SIRSの有無(p=0.030)が人工肛門選択に関した独立した因子であった。人工肛門造設症例の内,閉鎖された症例は2例(7.1%)のみであった。【結論】AS(<20),SIRSなしの症例では,救命率を下げることなく一期的吻合が行える可能性が示唆された。

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© 2013 日本腹部救急医学会
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