2013 年 33 巻 6 号 p. 979-982
要旨:消化管穿孔は術後に不幸な転機をたどることも多い疾患である。今回,穿孔部位が腹水CT値に与える影響に注目し,腹水CT値と予後との関係を明らかにすることを目的とした。当院で緊急手術を要した消化管穿孔症例で術前CT検査にて腹水CT値が計測可能であった62例を後方視的に解析した。穿孔部位別の腹水CT値を比較したところ,大腸で有意に高かった(胃・十二指腸15(5-21)HU,小腸21(10-30)HU,大腸28(14-46)HU,p<0.05)。また,腹水CT値と発症から来院までの時間の積(CT値・来院時間係数)は合併症の有無および在院死亡と有意に相関していた(合併症>800 vs. ≤800,p<0.05:在院死亡>1,000 vs.≤1,000,p=0.10)。今回の検討から,術前腹水CT値・来院時間係数を用いることにより消化管穿孔症例における合併症,在院死亡リスクを予測できることが示唆された。