日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
特集:大腸穿孔の治療方針
大腸穿孔緊急手術症例の予後因子とスコアによる評価法
小杉 千弘幸田 圭史安田 秀喜鈴木 正人山崎 将人首藤 潔彦手塚 徹村田 聡一郎平野 敦史
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2013 年 33 巻 6 号 p. 983-988

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抄録

要旨:2001年9月から2011年9月までの大腸穿孔緊急手術施行56例を対象とし,術後死亡率につきAPACHE II,SOFA,POSSUM の各スコアによる評価をした。死亡率は全体で11例(19.6%)だった。患者背景,手術方法で生存群と死亡群で有意差はみられなかったが,APACHE II,SOFA,POSSUMによる評価では,各スコアで有意に死亡例の点数が高かった。術後PMX-DHPまたはCHDF施行例と,非施行例を比較すると生存率に有意差は認めなかったが,PMX-DHPまたはCHDF施行例の各スコアの点数は高値であり,より重篤な症例だったことが判明した。大腸穿孔に対し,各スコアシステムを用いて患者の重症度を評価することが,術後集中治療指針決定に有用である可能性がある。またPMX-DHPおよびCHDFを用いる症例の絞り込みに,各スコアシステムが寄与することが期待される。

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© 2013 日本腹部救急医学会
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