2013 年 33 巻 7 号 p. 1195-1199
要旨:症例は74歳,男性。67歳時盲腸癌に対して回盲部切除術,4年後に腹壁瘢痕ヘルニアに対してComposix Kugel Patch®(以下,CKP)を用いた修復術が施行された。2年7ヵ月後,発熱・悪寒があり当科を受診した。下腹部正中創部に発赤・腫脹がみられ,CT検査にてCKP内部から皮下にかけて液体貯留と遊離ガス像を認めた。皮膚・皮下を切開・排膿し,直下のCKPを穿刺すると腸液様の排液を認めた。CKPによる小腸穿通と診断し,CKPを摘除,穿通がみられた小腸壁を切除・縫合閉鎖した。腹壁は直接縫合閉鎖した。術後創感染を併発したが,術後37日目に軽快退院した。術後3年現在ヘルニアの再発,感染の再燃は認めていない。CKPを用いる腹壁瘢痕ヘルニア修復術後は,まれな合併症として腸管穿孔・穿通を念頭に置くべきである。